医学、医療関連の翻訳、校閲、原稿作成に関連した内容、医学雑誌を読んでいて感じたことなどを書いていきます。原稿校正、書き直し代行、翻訳などの依頼はホームページの問い合わせフォームからお願いします。英語の他に和訳はドイツ語、フランス語、スペイン語(独和、仏和、西和)でも私自身がしています。
新聞を見ていると「手術不要の乳癌」という感じの見出しの表現がありました。「手術不要」とはどういうことか疑問に思いながら記事を読みました。実際には、一定の条件を満たした一部の乳癌では、手術をしなくても他の治療法で治癒が期待できそうだということでした。この新聞記事を読みながら、この記事の見出しは誤解を生む危険はないかとの懸念を私は持ちました。医療関係者ならば記事本文を読めば内容を理解できます。長期成績はどうなのか、実際に手術をしないとしたら癌細胞の消滅はどうやって確認するのかなど、医療関係者ならば考えながら記事を読めます。しかし一般の方々は「手術不要」の部分にだけ注意が向いて、過度な期待をしてしまうかもしれません。本文まで詳しく読んではくれないかもしれません。
見出しという性格上、人目をひく、少ない文字数といった制約はあるにしても、もう少し一般市民でも正確に理解できる見出しにできないものかと感じてしまいました。
和文内科学雑誌のmedicinaの9月号を通読中です。特集は「内科医のためのクリニカル・パール3」となっていますが、この特集は面白いです。特集は当然ながら毎月変わり、最近の知識を整理した教科書的性格の内容の時もあります。今月号はそれとは異なり、内科関連の様々な領域について取り扱った気軽な読み物という印象を受ける文章となっています。しかし内容は濃いです。私は発行出版社の関係者ではなく、宣伝する目的で書いているわけではありませんが、面白かったので読んでみた感想を述べてみました。
座談会も研修医や若手の先生が読むと、指導医やベテランはこんな風に若手を思ってたのかと分かって面白いです。
堅苦しい内容でなくても勉強になる医学雑誌は作れるのだなと感じた9月号でした。なお以上はあくまで私の個人的感想であることを明記しておきます。
新聞の第一面に糖尿病患者やその疑い例が1000万人を超えるとの記事がありました。高齢者の増加が背景にあるらしいですが、高齢者ではどのように治療するのか、実際に診療する先生たちには悩ましいところでしょう。高齢者では若い人に比べれば当然ながら残りの寿命は少なくなります。糖尿病の合併症が出てくる前に、他の病気や事故で死亡する確率の方が高いかもしれません。高血糖の程度にもよるでしょうが、どの程度積極的に治療するのか、第一線で診療にあたる先生は悩むと思われます。
治療をするにしても悩ましい問題があります。高齢者では食事や運動などその人なりの生活習慣は定着していて、その修正は難しいかもしれません。運動と言っても、膝が悪い、体力の衰えなどで若い人のようには運動はできる人ばかりではありません。また既に他の病気で薬を何種類も薬を飲んでいる人に、更に別の薬を使うとなると、患者の費用負担増加や薬物相互作用、副作用などの問題が出てくる懸念もあります。現場の先生たちの苦労が想像されます。