医療分野に限らず翻訳会社の登録翻訳者求人ではしばしば「定期的な発注は約束できない」「一定量以上の発注は約束できない」など断り書きがあります。要するに、登録はしてやってもよいが仕事はないと思えと、翻訳会社は言いたいのです。翻訳会社にしてみれば、顧客からの注文があってはじめて登録翻訳者に仕事を割り当てられます。特定のお気に入りの翻訳者に優先して仕事を回すので、登録翻訳者は多数いても実働率は一割、あるいはそれ以下ともなり得ます。更に翻訳会社への注文も激減しています。
一方、下請けとなる翻訳者からみれば、お金が必要だから仕事をしようとしています。収入につながらない翻訳者登録など無意味です。したがって、上記の背景や翻訳者のあまりに低い報酬額などから、翻訳会社の登録翻訳者は魅力がありません。
翻訳をきちんとできるだけの能力のある人ならそれなりに他の業務をこなす能力もあるでしょうから、他の収入源を探すことになります。その結果、翻訳会社が求人を出しても応募者は少なくなってきています。翻訳業界に限らず現在は人材不足ですが、翻訳会社では特に人材不足は深刻になるでしょう。