医療関係の翻訳を翻訳会社に頼むと、誤訳やひどく不自然な訳文になって驚くでしょう。はじめて翻訳会社を使う人は特にそうです。翻訳会社が下請けの翻訳者に対して支払う報酬額が著しく低いなど、容易に想像できる要因もあります。
それ以外にも、翻訳会社と翻訳発注側で訳文の正解が異なる場合があります。すなわち翻訳会社は原文の単語や語句を一つずつに訳語を当てて、その訳語をつないで訳文にしていくことがあります。翻訳ソフトのような訳し方とも言えるでしょう。それが訳文として自然な文章になっているかは考えません。また専門知識不足から過度に辞書に依存し、辞書が絶対的な正解となる例もあります。文脈に合わせた適切な適切な訳語が辞書に書かれていない場合には、不自然な訳語を当てて訳文を作成することになってしまうのです。
しかも医療関係の資格を持っている人が翻訳会社の登録翻訳者となったとき、いくら「医療関係者はこういう言い方はしない」と翻訳会社に説明しても理解してもらえない事態が起こりえます。お金を稼ぐために仕方なく翻訳会社の言いなりになって不自然な訳文を書いているという薬剤師の方もおられました。全ての会社ではありませんが、翻訳会社の訳文が低品質なときには上記のような背景が存在する場合があります。