医学、医療関連の翻訳、校閲、原稿作成に関連した内容、医学雑誌を読んでいて感じたことなどを書いていきます。原稿校正、書き直し代行、翻訳などの依頼はホームページの問い合わせフォームからお願いします。英語の他に和訳はドイツ語、フランス語、スペイン語(独和、仏和、西和)でも私自身がしています。
和文医学雑誌を読んでいて「前炎症性サイトカイン」という語句を見かけたことがあります。どうやら、英語の"proinflamatory"を直訳した結果と思われました。pro=前という意味がありますし、文字通り和訳すれば「前炎症性」です。しかし実際の意味は「炎症性サイトカイン」です。炎症を抑制する働きのあるサイトカインと特に区別したければ「炎症惹起性サイトカイン」とでもすればよいでしょう。
このように英語の文献を参照して和文原稿を執筆する際、不自然な日本語で作文をしてしまう例があります。編集者はそれを見抜いて、著者に確認を取ることが望ましいです。そうはいっても、医学部医学科の出身者でもない編集者に対してそこまでの要求はできないのが現実です。
無料で閲覧できる看護師国家試験過去問の解説サイトが多数あります。それらを見ていると、医学的知識を要する設問においては、解説が不正確な場合があります。看護師国家試験なので看護師が選択肢の解説を書いているのでしょう。しかし看護師からの批判を恐れず述べると、看護師の医学知識は、医師や他の医療関係者と比べると不足する場合があります。編集に携わる人は、解説の信頼性を高めたければ、相応の対策を講じる必要があります。
医療系学校では「いまだにカリニ肺炎と書く先生がいるが、それはニーユモシスチス肺炎のことだ」だと教えていそうな気がします。学生の皆様、学校での状況はどうですか。