医学、医療関連の翻訳、校閲、原稿作成に関連した内容、医学雑誌を読んでいて感じたことなどを書いていきます。原稿校正、書き直し代行、翻訳などの依頼はホームページの問い合わせフォームからお願いします。英語の他に和訳はドイツ語、フランス語、スペイン語(独和、仏和、西和)でも私自身がしています。
和文医学雑誌を読んでいて「前炎症性サイトカイン」という語句を見かけたことがあります。どうやら、英語の"proinflamatory"を直訳した結果と思われました。pro=前という意味がありますし、文字通り和訳すれば「前炎症性」です。しかし実際の意味は「炎症性サイトカイン」です。炎症を抑制する働きのあるサイトカインと特に区別したければ「炎症惹起性サイトカイン」とでもすればよいでしょう。
このように英語の文献を参照して和文原稿を執筆する際、不自然な日本語で作文をしてしまう例があります。編集者はそれを見抜いて、著者に確認を取ることが望ましいです。そうはいっても、医学部医学科の出身者でもない編集者に対してそこまでの要求はできないのが現実です。
翻訳者募集記事では、翻訳者に誤解をさせる目的でよく用いられる手法があります。それは実際には常時募集なのに「急募」「至急募集」などと書いておく方法です。常に自社ホームページ上で急募であるという例の他、"New"という表記を付記するというのもあります。常にあちこちの求人サイトで翻訳者募集をしているのに、募集広告で「急募」「新規募集」と書いている会社もあります。応募締め切りを書いて「決定次第終了」としていても、その締切が過ぎると募集締め切りを書き換えるということを繰り返している会社もあります。
こういうやり方をしても個人の翻訳者にはもう見抜かれていると思われます。翻訳者をだまして応募させても定着は期待できません。なぜ翻訳者が集まらないのか、その原因を求人を出す側は考えるべきでしょう。