ある医学書を読んでいると"H.flu"という細菌名が繰り返し出てきました。文脈から「インフルエンザ菌」のことであるのはすぐに推測はできました。医師や臨床検査技師は、学生時代に細菌名の学名(ラテン語)も覚えます。従って今回の場合、著者は"H. influenzae"と書くのが面倒で、この短縮表記法を更に短くしてしまい"H.flu"と略して書いたのだろうと分かります。しかし、個人のメモならばともかく、商品として売り出す医学書の中で、このような自分勝手な略語を作ってそれを繰り返し使うというのはどうなのでしょう。読者にとって親切な書き方とは言えません。学生が読者だときっと分かりにくいでしょう。ワープロソフトの語句置換機能を使えば書き直しは容易ですから、編集者の方には読者の読む安さを考えて適宜原稿を修正してほしいところです。そのためには編集者にも医学知識が必要です。自分達に編集に必要な専門知識がないのだとしたら、読者目線で原稿を見て意見を述べられる外部の人に支援を頼みましょう。