ある医学書を買って読んでいました。全体的に通読しやすい文章で、どんどん読み進めていました。大変勉強になる内容でもありました。ただところどころ、平易な日本語なのに具体的意味の分かりにくい箇所がみられます。内容の理解に高度な専門知識は不要でしたし、編集者や校正者が出版前に原稿を確認していれば防げた悪文だなと感じながら読んでいました。そしてその感想を当該出版社に伝えました。編集部の回答はというと「校閲は著者自身がやりました」とのことでした。著者とは別の人が原稿を確認していなければ、意味の分かりにくい箇所が残っているのも当然です。しかも出版社の回答メールを読むと、あまり真剣には考えていない印象を私は受けました。
医学書は読者の絶対数が少なく、その結果として苦情の件数も少なくなります。医学書出版社もそのため真剣には文章の質について考えない傾向があります。しかし出版社の評判や売り上げに影響しますから、多少の手間や費用はかかっても著者原稿を編集部でも確認するのが望ましいです。