ネット書店である医学書の書評を読んでいると、「画像を見てもその説明文にある病変がどこにあるか分からない」という箇所があったと書かれていました。これは医学書や医学雑誌を読んでいる人ならだれでも経験していることだと思われます。専門外の人にはもともと分かりにくい画像のこともあれば、非典型的もしくは教科書的な所見ではないために読者には分かりにくいこともあります。単純X線写真では紙に印刷すると、細かな所見が分かりにくくなる場合もあります。いずれにしても、読者は分からないから勉強しているとの前提のもと、適宜矢印を入れるなどしてほしいところです。そのためには医学書の編集者や校正者もある程度は画像の判読能力があると筆者の先生に「ここには矢印を入れたい」などど言えるのですが、編集者は医療関係者としての教育を受けていません。したがって「読者は医師だし分かるだろう」と思い、読者の立場での編集は難しいのかもしれません。