医学書や医学雑誌では漢字変換ミス、単純な書き間違いや著者の勘違い、記憶違いによる書き間違いなど、人の手作業である以上はどうしても起こります。先日ある医学書を読んでいると、「頸椎の横突起にある前結節と後結節の間で"横突孔"に神経根が入っていくのが超音波画像で描出されている」という感じの文章がありました。そのとき私が疑問に感じたのは、頸椎の横突孔を通るのは神経根ではなく椎骨動脈ではないかということです。医学書の編集者や校正者に校正に必要な医学知識があれば、編集段階で著者に確認を頼めた記述です。しかし医学書編集者には医学知識が不足していて校正時の見落としが生じてしまう傾向があります。医学書出版社の方は、自分たちで校正を十分にできないのであれば、医学知識のある人に校正を外注することをお勧めします。
なお上記の医学書は一部に校正の見落としと思われる個所はあったものの、全体としてよくできていて読みやすく大変勉強になったことを述べておきます。