医学雑誌を読んでいると「全身性ループスエリテマトーデス(SLE)」なる表現が出てきました。文脈とSLEという略語から「全身性エリテマトーデス」のことらしいとは分かります。それではなぜ「全身性ループスエリテマトーデス」という通常は用いない表現になってしまったのでしょうか。おそらく英語の文献を参照して原稿執筆をしていたのだと思われます。この疾患は英語ではsystemic lupus erythematosusと言います。最初のsystemicという単語は「全身性」という定訳があります。そして残りの二つの単語はカタカナで訳出したのだと思われます。このように英語の文献引用時に不自然な和訳をしてしまう場合がときどきあるので、医学書の編集者、校正者は注意が必要です。