ある疾患について、自分の患者としての体験から「どうも一般的に言われていることは必ずしも正しくないのかもしれない」と感じていたことがあります。現在その一つを学術雑誌に投稿してみています。専門医でもなければ当該分野の研究者でもない人間が医学界の一般常識に疑問を述べる発言内容なので、簡単に掲載してもらえるとは思っていませんでしたし、不採用が続いています。その中で査読者のコメントを見ていると、「確かに私の説明不足だった」と反省させられることがある一方、「この先生は自分が何を言っているのか分かっているのかな」というコメントもあります。
今回は思わず突っ込みを入れたくなる査読者コメントがあったので紹介します。それは「貴方の体験自体は否定しないが、誤った知識を普及させるのはまずい。学術雑誌ではなく他の手段で発言を公開したらどうか。」というものでした。私はこの査読者コメントを見て、「学術雑誌だろうがインターネットの自己ホームページや質問サイトだろうが、本当に誤った情報なら広めてはいけないだろうに」と思ってしまいました。査読をする先生方は、匿名の査読だからと思って安易にコメントを書くのではなく慎重になりましょう。