新聞を読んでいたら、自治体の検診でがんの見落としがあり、早期の段階で治療できなくなったと訴訟になっている例の記事がありました。確かに患者やその家族にとっては不幸な出来事です。しかしその一方で医療関係者側の視点で見ると、完璧は期待しないで欲しいとも思ってしまいます。例えば胸部X線写真などは従来から、どうしても見落としは避けられないことは以前にも聞いたことがあります。
もともとどの検査にも長所と短所が有り、どんな異常も検出できて、過剰診断も過小診断もない方法などありません。また精密検査が必要と判定された患者を検査するときには、異常を見逃さないよう、そして「既に指摘されている異常からは、この点について特に注意して確認しなければ」など診察時の態度が医療者側も変わります。それに対して検診では、あくまで異常の拾い上げという視点で、大勢の人を短時間でまとめて見ていく形になります。異常を指摘されたか症状があって病院に来た人とは違う状況です。一般の方々には医療の限界についても知っておいて欲しいです。