New England Journal of Medicineという英文医学雑誌を読んでいますが、従来であれば臓器移植において臓器提供者とはならなかっであろう慢性感染症患者からの移植に関する記述を短い期間にたまたま二つみかけました。まず少し前に、症例検討の頁でHIV(AIDSウイルス)感染例がドナーとなって同じくHIV感染者であるレシピエントに臓器移植が試みられているとの記述をみかけました。そして今回は、上記雑誌の最新号、2019年4月25日号(380巻17号、1606頁)掲載の論文では、C型肝炎患者からの臓器を用いて、レシピエントには臓器移植の周術期に抗ウイルス薬を用いて感染の伝搬を防いで臓器移植を行った研究論文が掲載されていました。
慢性感染症患者は臓器提供者にはなり得ないと思っていた私には、どちらの例も印象に残りました。どちらも標準的な方法とは言えないでしょうし、日本でどういう方針が今後とられるかも分かりません。日本の患者がこういう方法を用いてでも臓器移植を望むかも疑問はあります。実際の医療としてどうなのかは別として、こういう試みがあるのかと印象的だったので書いてみました。