がんの治療はしない方がよいと話す先生がいます。すべてのがんは放置すべきで、その方が元気で長く生きられると信じ込む人は少ないとは思います。それでもがんが見つかったときに、そのがんを積極的に治療するかしないかは、治療の長所と短所をしっかりと考えて決断することが望まれます。手術では具体的な手術方法によっては体に対する負担が大きく、手術やそれに伴う薬物投与で死亡してしまう危険性を完全には否定できません。後遺症の懸念もあります。薬物治療でも副作用の危険があります。がんに限らず、医療行為には多少なりとも危険は伴うことを理解しましょう。
前立腺がんや甲状腺乳頭がんのように、早期で見つかった場合にはしばらくは何もしないで様子を見て、進行する気配がしてから治療を開始するという選択肢が示される場合もあります。これは顕微鏡で組織を見るとがんではあっても、意外に悪さをせずにじっとしていて、治療をするとむしろ治療による害の方が大きくなる危険性があるからです。がんに限らずどんな病気でも、疑問があれば主治医の先生とよく話し合って、納得の上で治療をお受けください。