英語の講演などを文字にしてくれる会社があります。文字起こし専門の会社もあれば、翻訳業が主体の会社の場合もあります。私自身、文字に起こされた医療関係の英文を和訳する仕事を定期的にしていたことがあります。その際にこの作業の問題として、気づいた点がいくつかあります。
まず文字起こし原稿に不正確な箇所が残っていることです。人の手作業である以上、完璧は期待できないのでやむを得ない面はありますが、日本人の私でも聞き取れる箇所なのに英語を母国語とする人には聞き取れないという場合もありました。これには専門知識や専門用語を知っているかがかかわってくると思われます。
次の問題点は、話された英語が必ずしも適切な英作文にはなっていないという点です。話し言葉は書き言葉とは違い、教科書的な作文ばかりではありません。英語を母国語としない人が英語で話している状況もあるでしょう。投影スライドなどの参考資料があれば文脈からある程度は判断できますが、もはや「翻訳という作業は成立しない」というほどひどい英語だったこともあります。
英語の文字起こし原稿を訳してもらうときには、このような限界を理解しておきましょう