翻訳会社の求人を見ていると、医学関係の和訳翻訳者募集でも英語であればTOEIC高得点、それ以外の外国語でも検定試験の上級レベルでの合格を条件にしているものがあります。一定の外国語能力を有する人だけに応募してきてほしいという理由はあるのでしょう。しかし受験している人ばかりではありません。しかも医学分野の和訳作業に限っていうと、TOEIC850点、900点、他の外国語の検定試験で1級、準1級は必ずしも必要ありません。
医学関係の文書は文構造は単純です。文学作品と異なり、表現は単純です。複数の意味を持つ単語の使用は避けて作文がされるので、難しい単語でも辞書を調べれば意味はすぐに分かります。初級レベルの外国語を分かっていれば、英語であろうとそれ以外の外国語であろうと、辞書を使いながら医学関係の和訳はできてしまいます。少なくとも英語、ドイツ語、フランス語などの欧州言語ではそうです。結局のところ、医学専門知識と日本語の作文能力が、和訳では重要です。一方、この条件を満たしていなければTOEIC満点、検定試験1級合格者でも医学翻訳の和訳はできません。そのことを理解していない翻訳会社は少なくありません。