内科学和文医学雑誌を読んでいると、ここは英語の医学文献を参照し、直訳して引用して原稿を書いているなと分かることがときどきあります。例えば「前炎症性(proinflammatory)」「下方制御(down-regulation)」などです。日本語としては不自然なのですが、元の英語を単純に直訳した結果として違う意味になったり、分かりにくい表現になることはよくあります。
昨日は「疾患」と直訳して分かりにくくなっている例を見ました。具体例をそのまま引用すると著者や出版社の不名誉となるので類似作文例を作ると、「進行期の疾患で癌診断後1カ月以内に」という感じの文章です。この文だけをみると「疾患」は癌以外の持病なのかとも思いたくなります。しかし文脈からは癌のことだと思われました。英語文献を参照しないで書いていたら「進行期の癌の患者で、その癌が診断されてから1カ月以内に」とでも書くところでしょう。
医学書の場合には英語の文献も読める人が和文の校正をした方が、こういう点を指摘しやすいです。医学書校正者にそこまでの能力を要求しにくい場合でも、「何か分かりにくいな」という部分があったら著者に確認する姿勢が必要です。