医学雑誌には新刊の書評が掲載されています。広告の一種なので、基本的には著者や出版社に都合の悪いことは書きません。書評の記述を信じてその本を買うと、無駄な出費となることがあります。
翻訳本では、訳文の日本語が不自然で読み続けられないことがよくあります。その一つの見分け方としては、書評の中で「訳文が自然な日本語で読み易い」と強調しているかどうかがあげられます。訳文の日本語が読みにくい翻訳本では、企画や構成について高く評価をしていても、訳文の質については言及しないように感じられます。書評を書く先生にしても、とても読めた日本語ではないのに「読み易い」と書いてその図書を紹介するのは躊躇するのでしょう。逆にできの悪い翻訳本で苦い経験をしている先生は、訳文が読み易いときにはそれをほめた紹介文を書きたくなるのだと思われます。
医学書出版社の方々は、翻訳本の書評で訳文の読み易さをほめてもらえなかった時には、訳文の質を確認したほうがよいかもしれません。