医学、医療関連の翻訳、校閲、原稿作成に関連した内容、医学雑誌を読んでいて感じたことなどを書いていきます。原稿校正、書き直し代行、翻訳などの依頼はホームページの問い合わせフォームからお願いします。英語の他に和訳はドイツ語、フランス語、スペイン語(独和、仏和、西和)でも私自身がしています。
日経メディカルのサイトを見ていて、従来は発作性夜間血色素尿症に対して用いられていたエクリズマブという抗体製剤が、重症筋無力症にも適応症の拡大がされるらしいことを知りました。更に私が購読しているNew England Journal of Medicineでは成人T細胞性白血病に対して用いられていたモガムリズマブを、この白血病の原因ウイルスによって起きるもう一つの病気であるHTLV-I関連脊髄症に対して用いた研究論文がありました(2018年2月8日号)。最近は抗体製剤が流行していますが、新しい標的に対する抗体製剤ができるだけでなく、従来ある抗体製剤の他疾患への有効性を調べる研究がされたりと、抗体製剤に対する知識が蓄積されています。患者の皆様にとっては、費用の面などで難点はあるにしても治療の選択肢が増えて喜ばしいでしょうが、勉強する側にとってはもはや時代についていくのが困難になりつつあります。抗体製剤の流行以前からすでに「専門以外の先生には多種類の薬剤が出てきて難解な印象を持つ人は多いだろうが」などと医学雑誌に書かれていることがありました。昔でさえそうなのに、今はもう薬の種類が増えすぎました。医療に限りませんが、時代の変化が年々早くなっています。