翻訳業務を行っている会社が登録翻訳者を募集するときには、いわゆるトライアル、すなわち翻訳テストを実施することが多いです。しかし、この翻訳テストについては面白い面もあります。
まず翻訳テストをしておきながら、私の訳文を見た後で「他の応募者の訳文の評価をしてほしい」と頼んでくる会社が複数あったことがあげられます。「私の訳文は誰が評価したの?」「訳文の良し悪しが分からないのに翻訳テストをやっているのか」と思ってしまいます。ひどい例になると「正直言うと、医療英語は分からない」と言い出す会社もありました。
次に面白いのは分量です。採用試験ですから応募者は無料で翻訳させられます。翻訳会社がお客様から無料お試し翻訳を了承するときは、例えば和訳の場合は訳文状態で400文字程度でしょう。しかしながら翻訳者募集時の翻訳テストではその数倍以上を訳させる場合があります。登録だけして仕事を回してもらえないことを何度も経験している翻訳者達が、そんな長文を無料で訳してくれると翻訳会社が思っているところがすごいです。会社によっては実際の仕事を使ったただ働きさせていることが強く疑われる場合もありました。
その他、和文英訳だけでなく英文和訳でも、テスト用原文が他人が読んでわかる作文になっていないことがあります。それを指摘すると謝ってきた会社もありました。