翻訳会社の作った訳文は低品質だからと私に訳文チェックと修正を頼んでくる会社があります。その会社によると、「フィードバックをしてもいっこうに改善されない」とのことです。具体的な「フィードバック」の方法は分かりませんが、おそらくは校正記録を残したWORDファイルを送信しているのが主な方法だと思われます。これも勿論一つの方法です。翻訳会社やそこの登録翻訳者に状況改善の意思があれば一定の有効性は期待できます。
その一方で、翻訳会社や下請けの翻訳者が「この顧客からは注文は継続して来ているし、訳文の質を上げるために金銭や労力は費やすのは嫌だ」と思っているときにはフィードバックの効果は期待できません。そういうときには一定分量だけ校閲結果を翻訳会社に示して「訳文があまりにひどいので、訳し直して欲しい」と伝えましょう。翻訳会社は普段は低報酬でやってれる下級翻訳者だけを使い、顧客から書き直しを要求されてはじめて上級翻訳者に訳文修正をさせています。
ちなみにこの場合には、翻訳会社は下級翻訳者への報酬を減額して、減額した分を上級翻訳者への「校正料金」に充当しています。下級翻訳者はただでさえ低い報酬が更に減らされて仕事として成立しなくなるおそれがあり、自分の能力を超える仕事は断ってくれるかもしれません。