医療分野の翻訳を翻訳会社に頼んで訳文の質の低さに驚いた人は多いでしょう。そこで翻訳会社とはどんなところなのか簡単に述べておきます。まず多くの翻訳会社では社内で翻訳作業をしていません。個人の翻訳者に業務委託しています。そして翻訳者の選定には以下のような基準があります。翻訳会社指定の翻訳支援ソフト(翻訳メモリソフト)を有し、常にパソコンのメールで連絡が取れ、低料金で引き受けてくれるという基準です。翻訳能力は後回しにして翻訳者の選定がされます。翻訳会社内に訳文の校正をする人がいても、翻訳業界では「翻訳者として独立する前に現役翻訳者の訳文を読んで勉強」という位置づけのことが多く、校正能力の高い人が訳文の確認をしているとは限りません(質の低い訳文で勉強になる?)。
更に翻訳支援ソフトは高価で使いにいか使い方を覚えにくい、"個人"が常にパソコンの前に張り付いているのは困難、低料金では飯(めし)が食えないし必要経費や仕事の難易度に見合っていないなどの問題が生じます。翻訳をできるだけの優秀な人材は翻訳会社からはどんどん離れています。