医学、医療関連の翻訳、校閲、原稿作成に関連した内容、医学雑誌を読んでいて感じたことなどを書いていきます。原稿校正、書き直し代行、翻訳などの依頼はホームページの問い合わせフォームからお願いします。英語の他に和訳はドイツ語、フランス語、スペイン語(独和、仏和、西和)でも私自身がしています。
昨日初めて「スマートドラッグ」という用語をテレビのニュースで見聞きしました。今朝の新聞にも出ていました。smartという英単語には「頭のよい」「賢い」という意味があり、頭のよくなる薬ということです。もちろんそんな薬などありませんが、学生の間で神経系に作用する医療用医薬品が用いられているらしいです。本来は病院の処方箋が必要なのですが、個人輸入という抜け穴を使って入手できていたのも規制されるとのことです。
本来は病気にために用いる薬ですから、何かしらの副作用が生じる危険さえあります。スマートドラッグ以外にも医療用医薬品を処方せんなしで購入できるなどという広告もみかけますが、不十分な専門知識で安易に医療用医薬品を使うのは非常に危険です。安易な使用はやめましょう。
先日、「突発性細菌性腹膜炎(SBP)」という語句を某医学書でみかけました。どうやら「特発性細菌性腹膜炎」とするところを書き間違えたようです。その文章を読みながら、まだ私が大学生だった時、末梢動脈疾患の症状としてみられる「特発性脱疽」を授業で「突発性脱疽」と書いていた先生がいたのを思い出しました。医学書編集者、校正者は「特発性」と「突発性」の書き間違いにも特に注意が必要と思われます。
ちなみに「突発性」という語句で始まる病名としては「突発性発疹」や「突発性難聴」があります。
翻訳会社や個人の翻訳者に訳文作成を発注する場合、簡単な翻訳テスト、いわゆるトライアルをして翻訳能力を確かめる方々もいるでしょう。その際には発注予定の原文を少しだけ訳させるという方法がまず考えられます。それ以外にも、翻訳者が間違えやすい語句、辞書だけを頼りにしていては正確には訳しにくい語句を含む文章を多く選んでおいて、それらを訳させるという方法があります。
ただし翻訳会社に対してこの方法を用いるときには、注意すべき点があります。翻訳テストの時だけ能力の高い人材に作業をさせる会社があります。受注が確定すると、わずかな報酬でも仕事をしてくれる下手な登録翻訳者に下請けに出す会社があります。私自身も結果的に翻訳会社のこのたくらみに協力してしまった経験があります。